離婚・慰謝料請求

離婚について

離婚の方法

離婚には、主として協議離婚、調停離婚、和解離婚、判決離婚の4つの方法があります。

① 協議離婚

協議離婚は、夫婦が話し合って離婚に合意し、離婚届が市区町村役場に提出・受理されることで成立します。夫婦が離婚に合意さえすればよく、特に離婚理由が明確である必要はありません。

② 調停離婚

調停離婚は、家庭裁判所での調停において成立します。調停では、調停委員2名と裁判官1名の計3名からなる調停委員会が、夫婦それぞれの言い分を聞き、合意に向けて話し合いを進めます。

離婚や離婚条件について合意に至れば調停成立となり、調停成立日に離婚が成立します。他方、調停では離婚を強制できないため、合意に至らなければ離婚は成立しません。

なお、わが国では調停前置主義を採用しているため、協議離婚ができない場合に直ちに離婚訴訟を提起することはできず、訴訟の前に調停を経なければならないのが原則です。

③ 裁判離婚

裁判離婚とは、原則として調停が不成立となったことを前提に、家庭裁判所に離婚訴訟を提起し、判決により強制的に離婚を成立させるものです。裁判所が民法上の離婚原因があると判断すれば原則として離婚を認める判決が下され、その判決が確定した日に離婚が成立します。

④ 和解離婚

離婚訴訟の途中でも、当事者が離婚や離婚条件について合意すれば、和解により離婚を成立させることができます。この場合、和解成立日が離婚成立日になります。

裁判上の離婚原因

民法上、裁判上の離婚原因とされているのは、①不貞行為、②悪意の遺棄、③3年以上の生死不明、④強度の精神病で回復の見込みがないこと、⑤その他婚姻を継続しがたい重大な事由、の5つです(民法770条1項)。⑤の「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」とは、婚姻生活が完全に破綻し、もはややり直しが不可能な場合をいいます。

裁判離婚をするためには、離婚を求める当事者(原告)が、上記①ないし⑤のいずれかの離婚原因があることを主張・立証し、裁判所にこれを認めてもらう必要があります。

離婚の際の財産上の請求

離婚の際、財産分与、養育費、慰謝料を相手方に請求できる場合があります。

① 財産分与

婚姻期間中に夫婦で築いた財産は、離婚の際に清算することになります。財産分与の対象となる財産は、不動産、預貯金、株式、支払済みの退職金などであり、原則として別居時を基準に確定されます

② 養育費

夫婦に未成年の子供がいる場合、どちらかが引き取り養育することになります。引き取った方は、相手方に対し、その収入に応じた養育費を請求することができます。

③ 慰謝料

相手方に婚姻を破綻させた責任があり、そのために精神的苦痛を受けた場合は、慰謝料を請求することができます。詳しくは「離婚の慰謝料について」のページをご覧下さい。

離婚に際しては離婚そのもの以外にも、ここでは触れませんでしたが、子どもの親権や養育費、財産分与、慰謝料などをめぐり様々な争いが生じる可能性があります。

それらに適切に対応するには法律や裁判手続に関する専門知識が不可欠ですので、お早めに弁護士に相談されることをお勧めいたします。

 

離婚の慰謝料について

慰謝料とは

慰謝料とは、離婚によって被る精神的苦痛に対して支払われる賠償金をいいます。

慰謝料が認められる場合と金額

慰謝料は、夫婦の一方が違法に婚姻生活を破綻させ、離婚に至った場合に認められます。慰謝料算定にあたっては、①離婚の経緯・原因、②精神的な苦痛の程度、③婚姻期間や

別居期間、③支払能力・資産状況、④夫婦の年齢、職業、収入、社会的地位、健康状態、

⑤未成年の子の有無等、ケース・バイ・ケースでさまざまな要素が考慮されます。

以下、慰謝料が認められる典型例をご紹介します。

  • 不貞行為(不倫・浮気)
  • 「不貞行為」とは

慰謝料請求の原因となる「不貞行為」とは、配偶者とは異なる第三者と性的関係を結ぶことをいいます。

  • 不貞行為による離婚の場合の慰謝料額

不貞行為による離婚の場合、事案にもよりますが慰謝料は200万円~300万円程度になることが多いようです。長期間の不貞や、不貞の態様が悪質だと、慰謝料も高額になる傾向があります。他方、婚姻期間が短い場合は、50万円~100万円程度の慰謝料しか認められないこともあります。

  • 不貞行為の相手方への慰謝料請求

不貞行為によりその夫婦の婚姻生活が破綻し、離婚に至った場合、不貞行為の相手方にも慰謝料を請求できることがあります。

  • 精神的・肉体的暴力(DV)・モラハラ

暴力やモラハラの態様、程度や頻度、怪我の有無等にもよりますが、50万円~200万円の慰謝料が認められることが多いようです。

  • 悪意の遺棄

夫婦は同居し、互いに助け合う義務があります。悪意の遺棄とは、この義務を果たさず、配偶者が困難な状況に陥ることを知りながらこれを放置することをいいます。例えば、夫が妻に生活費を渡さず、家を出たきり戻らない場合などです。

慰謝料の額は、婚姻期間や遺棄の期間等、個別の事情にもよりますが100万円~200万円程度になることが多いようです。

4 その他婚姻生活を継続しがたい重大な事由がある場合

深刻な嫁姑問題を放置する、夫婦の一方が理由なく性交渉を拒否し続ける等、夫婦の一方の行為によりその共同生活が営めなくなった場合には、慰謝料請求が認められることがあります。もっとも、単に性格の不一致があっただけの場合は、夫婦の一方が違法に婚姻生活を破綻させたとはいえないため、慰謝料は認められないのが通常です。

慰謝料請求の方法

まず、慰謝料の支払を求めて相手と交渉したり、調停を申し立てるという方法がありますが、交渉や調停で解決しない場合には、訴訟を提起することになります。

訴訟では、裁判所が適切と思われる慰謝料の額を決定し、判決を下します。もっとも、訴訟の途中でも、相手と合意できれば和解により解決することも可能です。

慰謝料が認められるか、またその金額については、個々の事案により様々です。ご自身のケースについて詳しくお知りになりたい方は、お早めに弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

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